千年石
相馬四弦
校庭の片隅できれいな石ころをみつけた
学んだばかりの醜さで奪いあって
あのとき僕らが細い腕を鎖にして囲っていたのは
この惑星に墜ちたひとつの原性ではなかったの?
みんなで笛を吹いていた 埋められたタイヤに腰かけて
トゥートゥートゥー
もし僕らが千年を生きる子供なら
地上に灰の降る朝も不思議に思わない
トゥートゥートゥー
むこうの夕焼けに飲み込まれてしまう前に
僕らの音色は巨大すぎるあいつを粉々にする
おなかすいたな
ほんとはみんな 家に帰りたかったけど
リフレイン
そして聳え立つ校舎の陰が記念樹のそよぎを止めると
水たまりにひたされた答案のようにふやけてゆく
どうだったろう あのとき誰が敗北したのだろう
ただみんなの悔し涙だけが
ぽろぽろと こぼれて
六時の鐘と運動靴に転がされて
とてもきれいな石ころになった