千年石
相馬四弦

校庭の片隅できれいな石ころをみつけた
学んだばかりの醜さで奪いあって
あのとき僕らが細い腕を鎖にして囲っていたのは
この惑星に墜ちたひとつの原性ではなかったの?


みんなで笛を吹いていた 埋められたタイヤに腰かけて
トゥートゥートゥー
もし僕らが千年を生きる子供なら
地上に灰の降る朝も不思議に思わない
トゥートゥートゥー
むこうの夕焼けに飲み込まれてしまう前に
僕らの音色は巨大すぎるあいつを粉々にする
おなかすいたな
ほんとはみんな 家に帰りたかったけど
リフレイン 
そして聳え立つ校舎の陰が記念樹のそよぎを止めると
水たまりにひたされた答案のようにふやけてゆく
どうだったろう あのとき誰が敗北したのだろう
ただみんなの悔し涙だけが
ぽろぽろと こぼれて
六時の鐘と運動靴に転がされて
とてもきれいな石ころになった






自由詩 千年石 Copyright 相馬四弦 2008-10-05 23:51:41
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