日曜日の曇り、ミカゲイシの隙間
むらさき
燃え残ったあたしの骨は
神様も買わなかった
代物で
おさまりのいい
グリーンの壺を
飛び出して
かしゃかしゃと
サワヤカに
鳴りはじめる
静まり返った
西光寺に
ササヤカな
ビートが
響いてる
お掃除のおばあさんも
乾いたハグキを
かしゃかしゃ言わして
もつれた足で
踊りだすわ
帚の先にも
踊り狂った蟻たちが
真っ黒になりながら
しがみついていくわ
あんたが
いつ
訪ねてきてくれても
いいように
あたしのお墓は
ふき出しの形をしている
ミカゲイシからジージーと
静電気が出ていて
あんたのたばこに
火をつけてあげる
食卓の上で見たときと
同じようなしかめつらをして
たばこをふかすあんた
もう一度だけ見せてよ
その眉間のしわ
あたしは語りかける
ぶつぶつと
覚えたての
お経を
慎重に英訳しながら
ミカゲイシのほんの隙間に
唇を押し当てて
それに合わせて
あんたは高らかな
口笛を吹いてくれる
お墓の表面には
電光掲示板みたいに
あたしたちの歌が
流れていくのよ
歌い終えて
少し汗をかいた
健康男女のあたしたちは
固くて白い石の間で
お互いの唇を吸うのよ
気が済むまで
ええ ええ
どうしても眠りたくない
眠りたくないのよ