振り出しのルーペ
海里
ルーペ、ちっちゃな虫眼鏡
神さまはサイコロをふらない
でももし双六なら
宇宙は振り出しに戻りますか
それとも、あがったら一丁あがりですか
遠くを見るどんな宇宙望遠鏡よりも
今ある小さなものを見る道具が欲しいのです
だから、繰り出しのルーペ
いつもポケットにいれておく私のモノクル
見えないものは見えなくていい
ただ、砂場の砂に有孔虫の殻のかけらを
波打ち際のきらきらが金雲母の帯であることを
手すりに舞い降りたばかりの雪の形を
思うだけではなく見届けるたびに
神さま、あなたの双六の盤面はとても美しい
書かれている文字は
決して読めないけれども