江戸川タンゲロピューレランドで会いましょう a.k.a.N.Y.i.E.
人間
江戸川の此岸で
成瀬川土左衛門をかたどった青白い風船が目印
その下
”ようこそ！江戸川タンゲロピューレランドへ”との黄ばんだ看板を雑巾で拭い
やれブルーだやれピンクだといったチラシを一枚ずつ剥ぎ
それで鼻汁を拭い
”雑談力を磨けば社会的大成功間違い無し万々歳フリーダイアル云々”との張り紙広告を剥ぎ
それで尻を拭い
気取り屋の痰と千鳥屋のゲロが混合したピューレを柄杓で掬ってはバケツに捨て
生活排水で滝行するように黙って さばけたデッキブラシで地面を擦って
うな垂れる彼は「冗談じやねえ糞ツ垂れ」が口癖の
単なる特殊清掃業者だった
江戸川タンゲロピューレランドの住人は
その伸びきったちじれ髪を形容して彼を「鳥ノ巣たん」と呼んでいた
彼も不思議と悪い気はしなかった
江戸川の彼岸で
血に餓えたトッポジージョ人形が夢に酔い痴れて愛し合っている
鳥ノ巣たんと奴さんらを隔てるささくれたガードレールに
近付いては嘲り 侮蔑しては遠退き
此岸で路上ッ子に源泉徴収されている鳥ノ巣たんを指差して笑う
「次元が違うんだよ」と吐き捨てたトッポジージョ人形のＴＮＴが
不発のまま川の底の底
陰気なヘドロに刺さった
雑種鰐のサバノビチ・ア・ゲリー太くんは今日も朝一で丸一日をしくじった
容姿も要領も悪く 女ツ気も商売ツ気も無い鳥ノ巣たんは
条理通り手ひどく血税を絞り取られた
公的医療保険制度により一生分の失敗が約束されている為
行政の審査は細かく 生活の縫い目は粗く
行き着く果ては町の端の枯れた道管
考える頭の無い葦を敷き詰め その上に構えた掘っ建てのＥＸＯＲに引き篭もり
その周りにＤＤＴを散布し 綺麗に磨いたＴＮＴを並べ
ＧＮＰに貢献しつつＭＶＰを目指してＳＯＳを発しているような毎日だった
またメンヘル鴨のマダム・ウン子・エドワルダさんが「嘴を捨てたい」と口走った
それは晩冬だった
世間から吹く下げ墨のカタバ風が青鋼柳刃庖丁の如く鳥肌を微塵切っている最中
鳥ノ巣たんが甲羅を脱ぎ赤裸々に土用を干しつつ
江戸川で命の洗濯をしていると
主流に身を任せて大きな白桃を抱いた電髪の猿を見付けた
無数の若いツバメに鳥葬されていた
鳥ノ巣たんは川の真ん中まで泳ぎ
まず若いツバメを濡れそぼる夢の中へと押し帰し
電髪猿の腕を掴んで岸まで運んだ
江戸川の彼岸で
逆立ちしたトッポジージョ人形たちが懐中電灯を股に挟み
電髪猿を照らして口々に言った「いや
こいつは藪坂じゃあねえ」
双子兔のマイン・メロデイが等間隔に対人金平糖を埋めて歩く
幸福は全て窓の外
真実は全て藪の中
浮世の首謀者である藪坂イゾルデの首に賭けられた報奨金は都こんぶ１年分で
浮き足立つ人々の 夢が向上心で満ちる時 浮世が絵になって売れた
ちなみに
拾った単なる電髪猿にはＤＧと名付けて可愛がった
特殊工作が得意でハンダ付けに夢中だった
希望は全て木の棒
成功は全て亀の甲
板東アス丸が毛穴という毛穴に詰めたクラッカーを鳴らして喜ぶ
それからというもの毎朝
鳥ノ巣たんはＥＸＯＲの雨戸を閉め切り
レプリカのニジマスのマスクを被って
机上でトッポジージョ気取って空論を回せば
縁側に雑魚寝するマタニティドレスの高級フィギュアが上体反らしで世界新記録を更新し続けた
しかし いかに足掻き藻掻いても
鳥ノ巣たんのＤＧは「藪坂じゃあねえ」とＴＮＴが泣いた
歩きだす足はピンからキリでもハンダでは止められないが屋外では誰にもハンデが無い
神保町で始祖鳥を見付けた
瑠璃アゲハ食って泡吐いた
下馬評曰く
御徒町なら税込３０円で安全が買える
中古傷アリなら更に１０円まで下がる
そしてカンラカンラ回る空論によって
ロンドンブリッヂから河童橋まで
セントラルパークから新宿御苑まで左遷され
よりによって浮世は肌身に吸い付くような馬のなりで去り
腐りかけのＤＤＴが蒸発すると
老いたツバメが小雨のように降った
橋の下ゲップ朗が白い荒野から行列を作るレミングを次々と鈍痛池に突き落とす
「不正確であるよりは分かりにくい方がマシだと思ったんだ」
失言するゲリー太くんが鳥ノ巣たんの顔に唾をかけた
その時 伝説の英雄がやってきた
そして江戸川タンゲロピューレランドの住人を蹂躙した
あっちこっちで煙が上がる 対人金平糖が弾ける
浮き足立つ人々が野次馬になる 類が友を呼んで散っていく
手取り足取り身包みを剥がれ
落ち目を潰され軽口を縫われ
僻耳を削がれ出鼻を挫かれ
満身創痍の鰐や鴨や烏や蛙や
死屍累々の中洲で遺憾の意に馬乗りされた鳥ノ巣たんの
血液型は江戸川底に溜まったヘドロに似てだし
髄はドブ水で骨は麩菓子に近付いていった
空気は毒となり光線は針のむしろとなり
苦しみと痛みだけが世の常で
無理も道理も通らず引っ込み
その他は空しい枯れ薄荷に鈍色エレジー
鳥ノ巣たんは正直もう金輪際だと思った
ガマ口の中の血が尽きると 高級フィギュアも一次元に戻ってしまい
遣る瀬も取り付く島も無く ＤＧの臍の緒から尻の尾の根元を辿り
鳥ノ巣たんは島青白い森の中に入った
更に
歌舞伎町から鍛治町まで
明治通りから茜通りまで左遷され
国道３３９の階段を願いましては１３で割るに２６．０７６９２３０８となり
「風呂わ南無、苦痛さん親」と語呂合わせで覚えた
江戸川の此岸で 初めての確定申告をした鳥ノ巣たんは一人
突飛な形の竜飛岬から調子ッ外れの犬吠埼まで左遷された
浮世の馬の海に向かって叫ぶ藪坂イゾルデがＤＧのカッターを撒いて安全の値が５円まで下がり
夢の中の都こんぶで窒息する鳥ノ巣たんはＥＸＯＲが引き裂いた浮世絵の中で大失敗を抱え
ツバメのいない空を頭に被って老いた
雑談する路上ッ子とトッポジージョ人形の群れが蔑視する中
鳥ノ巣たんは大失敗を白桃に変えて浮世の主流に身を任せる覚悟を決めた
愉しい江戸川タンゲロピューレランドの仲間たちは笑顔で手を振った
江戸川のヘドロ金輪際にＴＮＴを沈めて「風呂わ南無、苦痛さん親」と唱え
ＤＧとハンダを背負って耐える毎日を晩年まで
もう「冗談じやねえ」と吐く鳥ノ巣たんは「藪坂じゃあねえ」喉笛を鳴らし続けている
成瀬川土左衛門をかたどった青白い風船が目印
その下
”ようこそ！江戸川タンゲロピューレランドへ”との黄ばんだ看板を雑巾で拭い
やれブルーだやれピンクだといったチラシを一枚ずつ剥ぎ
それで鼻汁を拭い
”雑談力を磨けば社会的大成功間違い無し万々歳フリーダイアル云々”との張り紙広告を剥ぎ
それで尻を拭い
気取り屋の痰と千鳥屋のゲロが混合したピューレを柄杓で掬ってはバケツに捨て
生活排水で滝行するように黙って さばけたデッキブラシで地面を擦って
うな垂れる彼は「冗談じやねえ糞ツ垂れ」が口癖の
単なる特殊清掃業者だった
江戸川タンゲロピューレランドの住人は
その伸びきったちじれ髪を形容して彼を「鳥ノ巣たん」と呼んでいた
彼も不思議と悪い気はしなかった
江戸川の彼岸で
血に餓えたトッポジージョ人形が夢に酔い痴れて愛し合っている
鳥ノ巣たんと奴さんらを隔てるささくれたガードレールに
近付いては嘲り 侮蔑しては遠退き
此岸で路上ッ子に源泉徴収されている鳥ノ巣たんを指差して笑う
「次元が違うんだよ」と吐き捨てたトッポジージョ人形のＴＮＴが
不発のまま川の底の底
陰気なヘドロに刺さった
雑種鰐のサバノビチ・ア・ゲリー太くんは今日も朝一で丸一日をしくじった
容姿も要領も悪く 女ツ気も商売ツ気も無い鳥ノ巣たんは
条理通り手ひどく血税を絞り取られた
公的医療保険制度により一生分の失敗が約束されている為
行政の審査は細かく 生活の縫い目は粗く
行き着く果ては町の端の枯れた道管
考える頭の無い葦を敷き詰め その上に構えた掘っ建てのＥＸＯＲに引き篭もり
その周りにＤＤＴを散布し 綺麗に磨いたＴＮＴを並べ
ＧＮＰに貢献しつつＭＶＰを目指してＳＯＳを発しているような毎日だった
またメンヘル鴨のマダム・ウン子・エドワルダさんが「嘴を捨てたい」と口走った
それは晩冬だった
世間から吹く下げ墨のカタバ風が青鋼柳刃庖丁の如く鳥肌を微塵切っている最中
鳥ノ巣たんが甲羅を脱ぎ赤裸々に土用を干しつつ
江戸川で命の洗濯をしていると
主流に身を任せて大きな白桃を抱いた電髪の猿を見付けた
無数の若いツバメに鳥葬されていた
鳥ノ巣たんは川の真ん中まで泳ぎ
まず若いツバメを濡れそぼる夢の中へと押し帰し
電髪猿の腕を掴んで岸まで運んだ
江戸川の彼岸で
逆立ちしたトッポジージョ人形たちが懐中電灯を股に挟み
電髪猿を照らして口々に言った「いや
こいつは藪坂じゃあねえ」
双子兔のマイン・メロデイが等間隔に対人金平糖を埋めて歩く
幸福は全て窓の外
真実は全て藪の中
浮世の首謀者である藪坂イゾルデの首に賭けられた報奨金は都こんぶ１年分で
浮き足立つ人々の 夢が向上心で満ちる時 浮世が絵になって売れた
ちなみに
拾った単なる電髪猿にはＤＧと名付けて可愛がった
特殊工作が得意でハンダ付けに夢中だった
希望は全て木の棒
成功は全て亀の甲
板東アス丸が毛穴という毛穴に詰めたクラッカーを鳴らして喜ぶ
それからというもの毎朝
鳥ノ巣たんはＥＸＯＲの雨戸を閉め切り
レプリカのニジマスのマスクを被って
机上でトッポジージョ気取って空論を回せば
縁側に雑魚寝するマタニティドレスの高級フィギュアが上体反らしで世界新記録を更新し続けた
しかし いかに足掻き藻掻いても
鳥ノ巣たんのＤＧは「藪坂じゃあねえ」とＴＮＴが泣いた
歩きだす足はピンからキリでもハンダでは止められないが屋外では誰にもハンデが無い
神保町で始祖鳥を見付けた
瑠璃アゲハ食って泡吐いた
下馬評曰く
御徒町なら税込３０円で安全が買える
中古傷アリなら更に１０円まで下がる
そしてカンラカンラ回る空論によって
ロンドンブリッヂから河童橋まで
セントラルパークから新宿御苑まで左遷され
よりによって浮世は肌身に吸い付くような馬のなりで去り
腐りかけのＤＤＴが蒸発すると
老いたツバメが小雨のように降った
橋の下ゲップ朗が白い荒野から行列を作るレミングを次々と鈍痛池に突き落とす
「不正確であるよりは分かりにくい方がマシだと思ったんだ」
失言するゲリー太くんが鳥ノ巣たんの顔に唾をかけた
その時 伝説の英雄がやってきた
そして江戸川タンゲロピューレランドの住人を蹂躙した
あっちこっちで煙が上がる 対人金平糖が弾ける
浮き足立つ人々が野次馬になる 類が友を呼んで散っていく
手取り足取り身包みを剥がれ
落ち目を潰され軽口を縫われ
僻耳を削がれ出鼻を挫かれ
満身創痍の鰐や鴨や烏や蛙や
死屍累々の中洲で遺憾の意に馬乗りされた鳥ノ巣たんの
血液型は江戸川底に溜まったヘドロに似てだし
髄はドブ水で骨は麩菓子に近付いていった
空気は毒となり光線は針のむしろとなり
苦しみと痛みだけが世の常で
無理も道理も通らず引っ込み
その他は空しい枯れ薄荷に鈍色エレジー
鳥ノ巣たんは正直もう金輪際だと思った
ガマ口の中の血が尽きると 高級フィギュアも一次元に戻ってしまい
遣る瀬も取り付く島も無く ＤＧの臍の緒から尻の尾の根元を辿り
鳥ノ巣たんは島青白い森の中に入った
更に
歌舞伎町から鍛治町まで
明治通りから茜通りまで左遷され
国道３３９の階段を願いましては１３で割るに２６．０７６９２３０８となり
「風呂わ南無、苦痛さん親」と語呂合わせで覚えた
江戸川の此岸で 初めての確定申告をした鳥ノ巣たんは一人
突飛な形の竜飛岬から調子ッ外れの犬吠埼まで左遷された
浮世の馬の海に向かって叫ぶ藪坂イゾルデがＤＧのカッターを撒いて安全の値が５円まで下がり
夢の中の都こんぶで窒息する鳥ノ巣たんはＥＸＯＲが引き裂いた浮世絵の中で大失敗を抱え
ツバメのいない空を頭に被って老いた
雑談する路上ッ子とトッポジージョ人形の群れが蔑視する中
鳥ノ巣たんは大失敗を白桃に変えて浮世の主流に身を任せる覚悟を決めた
愉しい江戸川タンゲロピューレランドの仲間たちは笑顔で手を振った
江戸川のヘドロ金輪際にＴＮＴを沈めて「風呂わ南無、苦痛さん親」と唱え
ＤＧとハンダを背負って耐える毎日を晩年まで
もう「冗談じやねえ」と吐く鳥ノ巣たんは「藪坂じゃあねえ」喉笛を鳴らし続けている
