わたしは秋
乱太郎



    (わたしは秋
     枯れゆく落ち葉のしたで
     春の夢を待ち焦がれている)



北国の夏はぬるい
日焼けした肌
汗臭いTシャツ
サングラス
海と空がひとつになって
青い物語を書き込む



    (わたしは秋
     風になる
     窓をこするさみしさを
     山の彼方へ飛ばすために)



北国の冬は深い
雪だるま
つらら
手袋
何もかもが凍りつく
大地の心臓までも



     (わたしは秋
      いつしかここにいる
      いつまでもここにいる)
      
 


   緑一色だった木々の葉が
   赤や黄色に変わっていく
   まるで
   隠していたものをさらけ出すように



  (わたしは秋
   百年の眠りに就く秋)


自由詩 わたしは秋 Copyright 乱太郎 2008-10-03 19:31:58
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