うつしみ
たりぽん(大理 奔)


蝉のように
最後の一週間で
羽化してみたい

  飛べるだろうか

そんなことより
左手と右手の違いについて
考えている
ついでに右目と左目について
も、ちょこっと
やはり
地べたで生きるように
できているね
背中を割ってはえるものは
なにもないから

  あなたを地面に埋める
  焼いてしまったけど
  何年かすれば
  今年の蝉がその下から
  きっと羽化して
  とんだり
  ないたりするだろう

蝉のように砕けて
蟻の巣、暗がりの中
運ばれて降りていく
なつかしい
地面の奥へ



自由詩 うつしみ Copyright たりぽん(大理 奔) 2008-10-03 00:25:53
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