秋
nonya
うろこ雲の尻尾につかまって
東の空へ流れ去った君は
雨雲に紛れ込んで
細やかな涙を降らせた
柔らかな時の掌に撫でられて
色鮮やかに頬を染めた君は
頼りない指先に手折られて
夕餉の小皿に添えられた
夜の底をほんのりと濡らして
美しくすすり泣いた君は
胸の隙間に染み込んで
埋もれていた想いを探し当てた
透き通った冷気を震わせて
ひとしきり朝の訪れを歌った君は
夢の余韻をくわえて
高い空へ飛び立っていった
夏から冬への
なだらかな傾斜の途中で
立ち止まってしまった僕の肩に
今日も想い出の数だけ
青い粒子が降り注ぐ