nonya


うろこ雲の尻尾につかまって
東の空へ流れ去った君は
雨雲に紛れ込んで
細やかな涙を降らせた

柔らかな時の掌に撫でられて
色鮮やかに頬を染めた君は
頼りない指先に手折られて
夕餉の小皿に添えられた

夜の底をほんのりと濡らして
美しくすすり泣いた君は
胸の隙間に染み込んで
埋もれていた想いを探し当てた

透き通った冷気を震わせて
ひとしきり朝の訪れを歌った君は
夢の余韻をくわえて
高い空へ飛び立っていった

夏から冬への
なだらかな傾斜の途中で
立ち止まってしまった僕の肩に
今日も想い出の数だけ
青い粒子が降り注ぐ


自由詩Copyright nonya 2008-09-30 18:58:36
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