秋空
N.K.
秋になると 空を歌う詩を書きたいと思う。
私たちは皆 秋空の下に定義される
と今年も思う。
淡い水色に澄み切ってどこまでも広がり
幼い頃 故郷の山へ例えばアケビ取りに出かけた
記憶にまでとどく
あの高い空の下に
幼子の寝顔を見るたびに 胸に静かに広がる未来への小さな
希望から始まる
この窓の外の空の下に
同じ空の下にあるものとして
昔 詩人が歌った孤独として
昔から 川辺で肩を寄せ合う恋人たちとして
世話をした人々のそれぞれの思いで実った
果物刈りへと繰り出した
子ども連れとして
連れられて 成長を喜ばれる 子どもたちとして
今年の 米の出来に一喜一憂する 農夫/農婦として
いままでの 人生の思い出を 拾い集めるように
これから 木の葉狩りへ向かうかもしれない 老夫婦として
孤独も恋人たちも家族も等しく
記憶も思いも願いも等しく
過去も現在も未来も等しく
この空の下に
あの空の下に
同じ秋の空の下に