旅の、あなた
rabbitfighter

ラピスラズリは、青い。

惑星に似た丸い石は、原石のまま磨かれずにいて、
濡れてもいないのにいつも冷たい。

時々、水脈を聞く。

明かりを知らない水の奏でる音楽を。
明かりの届かない場所で。

生き物の群れ。

森はそう、一切が生きたものの証。
土も。風さえも生きていることに没頭する。

灰。

降り積もり、折り重なり。
あるものは土に。あるものは岩に。





あなたがくしゃみをすると、僕は風邪を引いてしまう。
あなたが目を閉じると、僕は静かに眠ることができる。
雨はいつまでも降り続け、景色の中にあなたを置き去りにする。
私の中に夕立がある。

不意に晴れて、洗われた景色の中、日差しがあなたの上に留まろうとして柔らかい。

優しい愛撫を、あなたに。その指の、記憶を、ピアノを、
あらゆる方向に砕け散るひかりを、あなたを連れ去ってしまう夕暮れの薄闇を、
また別の物語を生きようとする、あなたや私によく似たいきものが懐かしむ。





この星は青に満ちている。
始まりと終わりに燃えながら、また青から青へ。いくつもの青へ。
この静けさを、真夜中の青を、そこは砂漠、生き物たちの廃墟。

旅のあなたよ、月を見上げているか。


自由詩 旅の、あなた Copyright rabbitfighter 2008-09-25 18:55:50
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