季節トリガー
フミタケ

朝もやのむこう
沈む
直線の街
往かせてしまおう
数字にまみれる日々
眠そうな
新聞欄
凍りついた
積乱雲
隠し持った
意思は
幼い痛み

そっと
目を閉じ
透明になろうよ
過ぎ去った日々は
夢の
水たまり
そっと
息を吸い
新しくはじめよう
双子のイヌが
こっちを見てる

ねぇ
僕は声に出さずに呼びかけた
遠くで風が
なにかをうたっている
誰にも聞こえないような声で
季節に咲く花のように
誰かの人生の経過が
冷たいノートに
書き込まれていく

黒いまぶたのうら
消えない残像
汗ばんだシャツの匂い
さらう夕立
つれづれの風にまかせ
歩く
そのリズム
耳鳴りの
むこうへ
ヒラリ輝く

ねぇ
僕は声に出さずに呼びかけた
遠くで風が
なにかをうたっている
誰にも
見返りを求めずに
季節に咲く
恋のように
誰かの人生の経過が
冷たいノートに書き込まれていく

そっと
目を閉じ
透明になろうよ
過ぎ去った日々は
いくつもの
水たまり
つれづれの風にまかせ
あたらしくはじめよう
耳鳴りの
むこうへ
歩く
そのリズム


自由詩 季節トリガー Copyright フミタケ 2008-09-25 14:18:53
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