ローズという名のピンク
ちりめんチャコ

私のはピンクだったらしい

私が生まれたとき口に含んでいた石は
ピンクだったらしい
私の石を見て
大人たちは笑ったのだそうだ
女の子が
女の子らしく
ピンク色の石をくわえてきたというので
笑ったのだそうだ
なんだかありきたりな子だというわけで

青や緑だったら
また色々解釈しようとしただろうに

ピンクの石でも
男の子だったらまた違う
男の子らしさにピンクが加わって
人間性に深みが感じられるのだとか

もっといいのは
透明や黒
その子は生まれてすぐから一目おかれる
透明であり
黒であるのに
虹色に光を反射するやつ

そんなもの
覗き込もうとして
よく見えないから畏れられるだけじゃないの


私の石
ずっと机の奥にしまってある
最後に見たのはもう随分前だけど
(だってみんなが笑うから悔しいんだ)
目玉にくっつくくらいにして見ると
中に迷路が入ってた
迷路つきの石だった!

これは秘密

私は迷路つきの石をくわえて生まれてきた
きっと
苦しい曲がり角をたくさん経験する運命
ピンク色に秘めて
あのときの大人たちを
心底驚かせちゃう運命
終わりのない冒険を覚悟したピンク



自由詩 ローズという名のピンク Copyright ちりめんチャコ 2008-09-22 21:47:44
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