Freedom Song 
服部 剛

どうやら僕は
今迄の思い出を 
大事にしすぎたようだ 

部屋の中は 
まだ終えてない宿題みたいな 
山積みの本  

ポケットの中は 
札は無くともささやかな記念日のレシートで 
ふくれた財布 

旅人よ 
そんな思い出達を両手に 
どっさり抱えて何処へ往く? 

振り返れば 
傘を差して突っ立つ僕の 
目の前に伸びる 
雨に湿った道を遠のいてくのは 
愛しい背中の面影ばかり 

そんな痛い思い出の場面とやらを 
そろそろ丸めて捨ててみようや 

毎日々々僕等は 
なけなしの銭を払って 
消費する 

満たされることの無い 
空っぽの杯を手にして 
差し伸べるみたいに 

過ぎた日の思い出なんぞは 
どんどん丸めた紙にして 
ぽいっとゴミ箱に 
捨てちゃいな 

雨を凌げぬ 
ビニール傘は 
二つに折って 
捨てちゃいな 

幸せを追いかけるうちは
いつまでもたっても 
今日の舞台に 
立てやしない 


幸せよりもっと早く、走らなきゃ 
( 風の唄が、聴こえる ) 


雨にずぶ濡れたまま、走らなきゃ 
( 風の言葉が、視える ) 


心を装ってた全ての服を剥ぎ取って、走らなきゃ 
( 風の顔が、微笑む ) 


やがて雲間から射す太陽が照らし出す、世界の大地  


目の前にまっすぐ伸びる 
雨上がりの渇いた一本道を、走る。  
他の誰でも無い 
愚鈍なる 
この裸足あしで 








自由詩 Freedom Song  Copyright 服部 剛 2008-09-22 16:59:19縦
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