モノクローム・サンセット
衿野果歩

君はもう忘れてしまった?
あの日 僕らが見た空の色
バイバイって別れたホーム
別々の電車の窓

見上げた同じ夕焼け
燃えるような赤い夕焼け

「見て 空がきれいだよ」って
二人同時に送ったメール
微笑んだ君を想い
鍵をつけた 一行のメール

今 君はどこにいるの
誰のとなりを歩いているの

君が僕を思い出すとき
二人で見たあの夕焼けを
思い出してくれるなら
それだけでいいや


僕はもう忘れてしまう
いつか君と見た空の青
バイバイって揺れる指先
その時の切なささえ


僕が君を思い出すとき
二人で見たきれいなものを
思い出してしまうんだ
いつだって 今も
君と二人歩いた日々は
あの頃見た景色のすべて
でも
思い出は色褪せてしまう
それだけが 今は
イタイ


今 君はどこにいるの
僕はここで笑っているよ

君が僕を思い出すとき
二人で見たあの夕焼けを
思い出してくれるなら
それだけでいいや
君がもし悲しいときに
二人で見たあの夕焼けを
懐かしんでくれるなら
……思い出は色褪せてしまっても
それだけでいいや
いいや


自由詩 モノクローム・サンセット Copyright 衿野果歩 2008-09-22 14:09:08
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