突撃
伊月りさ

手つかずの塗り絵です、
希望的な観測は
完成された白黒写真です、
絶望的な差異だった

容赦なく掌が、爪先が、舌が、
息が、声が、視線が、這入りこんだ
その底で
きみがなにか掴めるのでしょうか
わたしもわたしを暴きたく
正面きって貶したいのだ
言葉を用いず認めたいのだ
昨日の存在希求がきみの全力でも
納得がいかなければ手放せない
刃で
不本意に迎え撃つわたしは子ども
契約は指切り

それでもやはり彩られると
呆然
そして
誇らしく
それは希望ではないのだが
技術よりもずっと魔術で
その指先に攻められる時間はここにしかない

通い合わない、とふたりで泣けたらその時には
ひとりにつながった皮膚は
ひとりの鉄格子
燃え盛る杭よ、
心して突き破れよ、
そうしてようやく重なった景色にも
一応の追撃を許してやるのは
嘘に針を飲むのがわたしだから


自由詩 突撃 Copyright 伊月りさ 2008-09-22 09:53:42
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