夜のビューフォート風力階級
海里

ビューフォート風力階級というのは
煙突の煙がまっすぐ昇るなら風力0で
風向き程度にたなびくなら1
木の葉がそよそよしてるぐらいは風力2で
小枝までゆらゆらなら3
といったやつです

風に目安が
段階を追って設けてあって
細波もない鏡のような水面の風力0から
上下もわからないほど波飛沫まみれの風力12まで
海上バージョンなんかもあるわけですが

目安も何も
夜には何も見えないので
夜には夜の
風力階級表を作らなければなりません

自分の体がいいでしょう
長い三つ編みを窓から垂らしてみたり
外に出て風上に向かい仁王立ちしてみたり
睫毛だけに感じる風は木の葉の風で
身体を持っていかれそうになるのは風力××だと
自分の体に聞けるようにしておくのです
夜にも風を知りたいのならば

たとえ初めての土地であれ
惑星であれ
そこに吹く風の息をいつでも
いつか
知りたいのならば


自由詩 夜のビューフォート風力階級 Copyright 海里 2008-09-21 20:37:08
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