眠りたい、雨の日は
たりぽん(大理 奔)

雨の温度が秋であれば
降りしきる時が吹かせる
あの風が好きだ

小雨であれば
プリントアウトした君からのメールを
焚き火にくべよう。

消去するときは軽々しい一瞬だったけど
剥がしていくように燃え広がり
火の粉となって舞い降りながら灰になる
愛しい文字の葬列は
そんな雨がやさしいじゃないか

驟雨であれば
怯えて眠ろう
寝袋まで湿るような雨音が
寝不足のいいわけになるから
堂々と哀しい夢を見ればいい

雨の温度が秋であれば
雨の日はテントで眠りたい

自分にも聞こえないように
天幕を叩く雨音で
すべての声を隠して
誰にも聞こえないように
二度と呼ばない名前

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自由詩 眠りたい、雨の日は Copyright たりぽん(大理 奔) 2008-09-21 01:04:28
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