テーブルの上で最後の食事を
パラソル

米だわらの中に小人がいっぱい住んでいて、
星のような速さでビルの下を自動車が
行ったり来たりしている合間に
めいめいテーブルに座って
まさに頭から赤いシチューをかぶろうとしている。

「おとうさん! ごはんよ!

 おとうさん! おねがいよ!
 ごはんを たべてください!」

おとうさんが、だるそうにふすまを開けると、
皿の上には母の骨がのせられていた。

わたしは、テレビの中の人をあんまり信用しないけれど、
今日の天気予報はしんじるの。

「神奈川・・・はれ ときどき 自殺」
「ソマリア・・・はれ ときどき 出生(5分後、飢死)」

・・・
どこかで人が生まれ、どこかで人がしぬ。
人が食事をしたり、食事になったりする。

食え。
食らえ。
お前は、食って、しね。
たべものの声が聞こえました。
スペアリブが僕に自殺してくれと言いました。
だから僕はしのうと思います。
僕も土のたべものになります。

そして朝
とびらを開けると、
いつもの食卓には、
母の骨がのせられていた。


自由詩 テーブルの上で最後の食事を Copyright パラソル 2008-09-20 21:21:06
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