祈りを捧げるときには
セルフレーム


―聞いた?昨日の話

―教会で孤児が死んでたって話?

―そうそう。
なんでも見つけたのはあの若いシスターだって話よ。

―あら、あの厄介者が?

―神父様が拾ってきた、全然表情がないあの・・・

―何でもピエタの近く―・・・
寄りかかりながら死んでたらしいわよ。

―あの人が見つけたなんてねぇ・・・

―あの人も人の子だったのね―・・・


祈りを捧げるときには


綺麗に飾られた独特の雰囲気が心地よい、
漂う木の香りと空の匂いが混じった、
この教会が大好きでした。

父親は僕が小さな頃に、刑務所の中で死にました。
母親は僕が小さな頃に、不治の病で死にました。
弟は僕が働いている合間に、川から落ちて死にました。
妹は僕が昨日帰って来たら、ストオブの傍で死んでいました。

僕は、例え貴方が
皆に嫌われても、
厄介者だとか邪魔者だとか言われても、
僕は大好きでした。


貴方の弾くパイプオルガンがあんまり心地よいので、
僕は昨日此処で眠ってしまったのですが、
誰が見つけてくれたのですか?


酷く気持ちがいいのです。

ピエタがやたらと近くに感じます。
今なら十字架のてっぺんにも手が届きそうな気がして。


パイプオルガンが、自然に身体を通り抜けていきます。

ああ、

僕は、

きっともう、

貴方の奏でる音の中に、

溶けていくのですね

貴方の見つめる楽譜の音に

同化する事が

許されるのですね―・・・?


祈りを捧げるときには


貴方が祈りを捧げるときには

僕が受け止められるように―




自由詩 祈りを捧げるときには Copyright セルフレーム 2008-09-19 20:14:48
notebook Home