First contact
マチムラ・トフト

白い壁の前に
ぺたんと座っています
足の甲やふくらはぎが
ひんやりしています
何をしてよいのかわからずに
うつろな赤ん坊のように
ほうけた老人のように
私はひとりです

白い壁にまぶしい光が射し込みます
白い壁を光がななめに切り取ります
白い壁が赤くめらめらと燃えだします
白い壁は闇に青く浮かびあがります

長い間
ずっと座っていました
ほんとうに長い間
ただ見つめていました
私はひとりです

でも、ほんとうは
ふれたかったのです そこにある白い壁に
こわかったのです うつろいやすい白い壁が

ふれることさえ こわかったので
ある日
白い壁に
不器用な手をかざしました
灰色の影が
あなたに映し出されました

知ってほしかったのです
わたしはここにいるよ
って


自由詩 First contact Copyright マチムラ・トフト 2008-09-19 01:16:56
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