即興詩 「僕はいま出航する」
飛鳥 彰

即興詩 「僕はいま出航する」



僕はいま、
高々と碧い空に帆を揚げて、出航する。

わが大海原は何処までも青く洋々として
日輪は常に金色の光を放ち、
天より沙羅双樹や優曇華の花の降る如くに、
また白蓮華が水より咲く如くに、
僕の行く手を詩のミューズたちが照らしてくれる。


空には、時に虹が架かり
あまたの夢を形になしたように顕れる。


夜には、
大宇宙にさんざめく銀河の星々が
星めぐりの歌をうたい、
僕は海上の航海から天上の航海へと所を移し、
永遠の旅人の勇気ある航海者となる。


わが言語の極北を照らす緑のオーロラは、
未来に飛翔しゆく鵬鳳(おおとり)の翼のように、
わが詩篇の船を護りつづけ、
新しき風を起こして帆船を未来に走らせる。


僕の後につづく者は、幸いの鳥を手にし、
冒険家にして勇者と謳われるだろう。


陸地を行く者は、
華やかなビジョンのたてがみを風にそよがせ、
白馬の騎士のように悪の敵陣を撃ち破るだろう。


天空を行く者は、
春の女神の幌馬車に乗って、
迷うことなく自在に生命の宮殿に辿り着くだろう。


海原を行く者は、
歓喜するイルカを友にして、
雄々しき鯨の歌声に耳を澄まし、
星と月と太陽の船に乗った船乗りみたいに愉快に笑い、
常に潮騒と海のそよ風に酔い痴れて、
賢き少年のように
永劫の交響曲(シンフォニィ)の波に
熱き涙を零している。


宇宙(そら)は僕のために輝く。


宇宙は僕のために慈愛の光を降り注ぐ。


宇宙は僕のために煌々とさんざめく。


それはすべて、僕の後につづく者たちの幸せのためなのだ。


かくして、
僕は宇宙に降り注ぐ微塵となって、
すべてのものの肥やしとなる。

そのために
僕はいま、
高々と碧い空に帆を揚げて、出航する。









自由詩 即興詩 「僕はいま出航する」 Copyright 飛鳥 彰 2008-09-18 04:57:36
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