がんばって 切り刻んで
パラソル

野菜を包丁でちょん切れば、
ひめいも立てずに おとなしく二つに割れる
のっぺらした断面は、手作りのCTスキャン
まな板の上で見えない血がおどる

さびしい時、たまねぎの上でにんじんを切る
指を切り落とす恐怖で さびしさを忘れられるように。


がんばって 切り刻んで
ばらばらにして 水で流して
罪を


洗剤が下水にたまって
あぶくの中でなまずが泳いでる。


空にむかって 包丁をふりまわすと
かまいたちのような気分になれる。
べつに 大気なんて切れないけども、
指がすべって 頭を切ったりして

うれしい時、どこでもいい、
体をまな板の上に置いて、だれかに、
どこかを、切り落としてもらいたい。

恐怖と痛みはどこかに置いてきたままで。


がんばって 切り刻んで
蛇口をまわして 水に流れた
ばらばらの 体は


下水に流れても
意識さえ残せば
腐らないと思うから

思いでをこめて、
切り刻みなさい。




自由詩 がんばって 切り刻んで Copyright パラソル 2008-09-16 23:07:57
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