午後の熱
木立 悟
互いを圧し合う青のはざま
渦が渦を巡る陽の道
空の水たまりを数えている
浜辺の藪にころがる鏡
鏡に空が映ると
鏡は笑った
おまえは
空じゃない
水 こだま 水
沈むことなく底を抱く
水紋の背
水紋の道
洞を 輪を
中に何もないものを
振りはらうほどに指にからまり
重さも音もなくまわりつづける
暗い浜辺で
拍手する子ら
炎がひとつ
曇間に鳴る
波をなぞり 光は消える
影の道の影のなか
まばたきをする片方の目が
鏡のつぶやきを見つめている
自由詩
午後の熱
Copyright
木立 悟
2008-09-16 20:32:16