九月炉
黒川排除 (oldsoup)
のちの世に現る大つむじへ遷都
空洞に発律した胸開く響き
絞め終えた腕青紫まだ蕾
円盤消ゆ数年後の同じ景色へ
生命に結ぶ糸縦穴に垂らす
白夜の森に吊られたくす玉鈍く映る
バラ売って轢かれる多重交差点
未亡人の夫間近に嗤いに来る
ガラス多く立つ光を通さんがため
鳴く缶ひとりでにへこみ港へ着く風
積んであったというビー玉迷いの数だけある
岩陰にせり上がる岩互いを射す
ビニール片吹き出す溝のない町
手から容器にインク移す膝と土汚し
寝る少年の足吊る紐の長さも少年
河となる縄滲むまで続く雨
すこしやすむすなやむすなやますますむすめ
逆光の糸散る祭礼夕濁り
竜巻吐く自分が遠くにいる鏡
一睡も斜視に塗れて虎燻る