ファルス
餅月兎

口先だけの約束が大小飛び交う日暮れ時
お前の言葉もどこか伝言めいて
超光速の人の流れを ただ 見送るだけ
ケーブルを担がない 最果ての電柱
剥げかけたコールタール 泣いているのか チャーイカ チャーイカ
鴎たちの憩いの場 冷たい灰の風
不器用な手つきで 矢を番えよ
お前の中で熾る火の仕掛けを明かせ
此処から見えぬ程遠くの国を巡り
花を愛でたり
手に棘を立てたり
蝶を追いかけたり
蛾に追いかけられたり
正座したり
痺れて立ち上がれなくなったり
青い数字のダンスを眺めたり
赤い数字に服を引っ掛けて取れなくなったり
極限までうんこを我慢したり
ちょっともらしたり
バナナの皮を戸口にばら撒いたり
その姿を目撃され失笑嘲笑哄笑されたり
サーキュレーターと睨めっこして動体視力を鍛えたり
目を回したり
傘を持って三階から飛び降りたり
骨を折ったり
四股を踏んだり
飢えに耐えかねて草を食べたり
空から降ってくる金盥に頭突きをしたり
ダメだこりゃと諦めかけたり
朝日の登るカクテルを共に飲んだ人を
愛したり殺したり埋葬したり火をつけたり信じたり愛したりせよ
そしてお前はお前になり
その身体が数えた不道徳と共に
黒い衛星に積まれ
暗闇の中へ飛んで行ってしまえ
もう帰ってくるな
どうせ此処には誰もいないのだ



自由詩 ファルス Copyright 餅月兎 2008-09-15 06:08:04
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