星
瀬戸内海
世界に唯一、病のからだ
手足なければ身を任せ
薬なければ身を委ね
耳を劈く轟音と
視力を奪う光線に
嗚咽は漏らさず
怒りも湧かず
全てはこの子のためだから
我侭坊やは末っ子で
おもちゃが欲しくて駄々捏ねる
手足なくとも歌は唄える
薬なくとも愛は注げる
熱に魘され汗を掻き
びゅうびゅう口から息を吐く
長男次男三男と
次々子供は死に絶える
それでもこの子が傍にいる
我侭坊やの我侭に
姉妹兄弟悲鳴を上げる
この子を愛せるただ一人
世界に唯一、病のからだ
星は君に憧れて
星は君に憧れた
だから星は決意した
君を愛すと決意した