月が笑った
nonya

しがらみに追いつかれた
雨上がりの宵の口
ゆらゆらと裏通りを歩けば
アーケードの端にかかる立待月

前のめりのふりをして
探していたのは出口
つらつらと磨いた逃げ足で
袋小路に駆け込んだが運の尽き

満ちてしまうのが怖くて
欠けたままにしておいた鳩尾に
冷たく尖った夜風が染みた

水溜りに浮かんだ月を
アディダスで踏みにじったら
青白く砕けながら月が笑った


自由詩 月が笑った Copyright nonya 2008-09-14 09:28:09
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