微炭酸
あおば

            080913


ガス抜きを致しますと
クエン酸
パチンコ屋のご亭主は
幼児はお金がないから
遊べないよと
すげない顔して
駄菓子屋の親父に下駄を預け
古くさいパチンコの台を寄贈した

駅前のパチンコ屋から
15メートル離れた駄菓子屋まで
3人のこどもを引き連れての避難
道筋には3機の自動販売機
寄り道をされたら
パチンコ遊びが出来なくなるよと
なんど言っても聞き分けてもらえない
炭酸水はむせるから
ジュースが好いというのに
少しも耳を貸してくれない
この子らは
生まれつきのけちん坊なのか
教育が悪いのか
おとなのいうことは聞かない方が、
仕合わせになれると信じているようだ
いうことを聞かないと許さない
怖い顔をして見せたが
怖い顔には馴れているらしく
可笑しそうに笑い転げていて
制御不能
諦めて微炭酸のレモンジュースを与えたら
ジンジャーが好いと駄々を捏ねる
いっそのこと生ビールでも与えた方が
気が楽だと思ったが
どこまで責任持てるか分からないので
背中をギュウギュウ押して
駄菓子屋に拉致する
それからも
一騒動があって
眠気が活力を弱めるまで
少しも気を抜けない
残暑厳しい白露の夕べ



初出、「poenique」の「即興ゴルコンダ」、タイトルは、なつさん





自由詩 微炭酸 Copyright あおば 2008-09-13 23:37:30
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