皮手袋の友人
KETIPA

   また呼ばれた
ついでに連れられた

人口建造物の端っこを渡りながら集団についていった
地面から萌える造花を眺めて立ち止まる
皮手袋に引かれて先に急かされる
ついでなら別にいいだろう眺めてても


彼の皮膚を知らない
常に手袋越しにしか触れない
他の友人とは素手で握手する
そうして丁寧に両手を覆うのだ
なめされた牛の皮で覆うのだ


もう触るな
そんな偽者の手で把握されたくない
ついでなんだろう
この造花を眺めていたいんだ
行け 帰るな
造花が細胞分裂を始めたんだ
ついでなんだろう


軽蔑と憐みとお情けの風が吹いた
断続的な低音に束縛された
雨のような汗が吹き出て分裂するビニール
不快な皮手袋は違う軸に移動していた


行け 帰るな
身体から排除し続けた別軸の世界に
憧れはなかった
こちらの軸には前にも後ろにも誰も立っていない
選んだ末とはいえ
時々それが不安ではあるのです


断続的な低音が振り落とそうとする塩分濃度の高い汗
風圧を強められても両腕がこの細い軸を堅持した
ものの自己謀反の果てに
鋭い先端で切断され絶句


自由詩 皮手袋の友人 Copyright KETIPA 2008-09-13 23:33:12
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