海辺にて
ばんざわ くにお

まちを遠くはなれ
まだらに草がはえた
さびしい砂浜の
海ぞいの道で
わたしはめくらのふりをして
ほどこしをもらった
(ニセめくら)

海から吹きつける風が
砂を舞い上げたが
空は青く澄んでいて
日差しはきつくわたしを
射す

もう一人女の
ニセめくらをみつけた
この女もわたしと同じく
人々をだまして
ほどこしをもらって
いきているようだ

女とわたしは
いっしょに砂浜を
歩いていくことにした
そのほうがほどこしをもらって
いきやすかった

砂浜の道を歩きながら
ニセめくらのサングラスを
ときどき少しずらして
お互いをちらりと見合い
ニヤリとした

さびしい砂浜の道の先は
遠くはるかに霞んでいて
はてしなく続いているようだ
ときどき小さな花が
咲いている


自由詩 海辺にて Copyright ばんざわ くにお 2008-09-13 08:45:30
notebook Home