タマムシ
タマムシ

君へ手紙を書く

タマムシから君へ
君は人で、わたしは虫だから
君にとってわたしは虫以上でも以下でもない
けれどわたしのからだは虫とは思えないほどきれいだって
君は知ってしまったから、わたしを大切にする
わたしがもしもタマムシでなくて
蛾のようなすがただったら
愛してくれましたか?

そんな手紙を書く

タマムシから君へ
君は詩で言葉を語ろうとするわたしを嫌う
もっとわかりやすいように言ってくれといらいらする
君にとって言葉が、わかりやすいほど鮮明に残るのなら
わたしはきっと詩を書いたりしない
だって、わたしタマムシだから
お互いをわかりあうには
言葉だけでは足りない

そんな手紙を書いた

タマムシから君へ
けれど君からの返事がこない
君に書いた手紙の終わりには、タマムシよりって

わたしタマムシだから
それ以上でも以下でもない

そんなわたしを
ただ、知ってほしかっただけなのに
  


自由詩 タマムシ Copyright タマムシ 2008-09-13 02:26:45
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