ラブレポート。
りぃ
不可思議な理論を思いついては
窓辺の君に押し付けた
紙媒体のレポートなんて
古過ぎると君は呆れたが
速度に追われたキーボードを見ると
理論すら何処かへ逃げてしまうから
骨董屋で買った万年筆の速度の方が
僕には合っている
「君はいつも窓辺に居た
特等席だ
白衣を着た君が窓に映し出される
外はもうすぐ冬景色
君がその風景に溶けてしまわないか
心配だ」
その事を彼女に告げたら
形の良い眉を思い切りしかめ、
切れ長の目をこれでもかと細めて
「そこに貴方お得意の理論は存在しないわね」
女の子の癖に、ニヒルに笑って見せた。
ああ、そんなものは存在しない。
それはいつか万年筆でしたためようとした
恋文の切れ端なのだから。