新たな家路
kauzak

引っ越した家への帰り道には
お寺の門前と墓地を抜ける箇所があって
そこから先は急に夜が深くなる

歩いていると聞こえるのは
虫の声と自らの足音だけで
夜に包まれる心地好さを感じながら家路を急ぐ

旧国道のすぐ裏手の道だというのに
走り去る車の音も届かず
路地の奥には生活の匂いが充満している

墨染の空に薄く曇
少し冷えてきた風を頬に受けて
緩やかにカーブする道を歩いて行く

こんなに身近に夜が息づいている
闇が心を癒すことを感じた瞬間に
我が家の灯りが見えてきた


自由詩 新たな家路 Copyright kauzak 2008-09-10 23:52:12
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