ケンタウルスの夜
石瀬琳々

祭りの夜は渦巻く貝殻
空はずっと青かった
水の流れをずっと聞いていた
草を噛むとたちまち苦みが
口なかに広がって 星が銀河が
水のように押し寄せて来る


あれは
ケンタウルスのきらめき
旅する汽車の遠い響きを、聞いた
かすかにレエルのきしみを、聞いた
やって来る やって来る
ごらん 夜の彼方から


ざざざと風が湧き起こって
ああ 目をくらませる
ああ 足が心がもつれて
倒れた草の花に夜露が、光る
耳鳴りのように
笛の音がどこか遠くで


さようなら、ってつぶやいた
星の夜




自由詩 ケンタウルスの夜 Copyright 石瀬琳々 2008-09-10 13:40:05
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