胎児の夢
小川 葉

 
子供の頃
よく胎児の夢を見た
まだ知らないはずの家族が
言葉ではない言葉で
話す声を聞いていた
その姿も見えていた気がする

胎児の僕は
母の子宮の中で
永遠に産まれないまま
時だけが果てしなく過ぎゆく
夢を見ていた

産まれた頃には
家族はおろか
世界さえも消失してるような
死とは何かを
その胎児はすでに
知っているのだった
 


自由詩 胎児の夢 Copyright 小川 葉 2008-09-10 02:54:36
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