無題  …固定された乙女に…
猫八百

ルーバースクリーン昔読んだボードレールの詩のイメージ
        なめらかなあまりにもなめらかな

?
乙女よ
南国の熱病 稲妻に撃たれ
しばらく眠りつづけよ

肩先からふくらみかけの胸をつたい―――足先まで
オリブオイル塗る
その間は

不毛の地に叩きつける涙
路地裏には影ひとつなく

茂みに獅子
あいまいな地にくぐもり呻る


?
亡きバーンズ氏の娘…まだ中学生だった…が
俺の部屋に寝ている
衝立*1で囲っただけ、ランプがひとつだけの客間だが

さびしい、さびしいとしきりに訴える異国の少女

声もかけられず
ただ漏れてくる光を眺めるばかり


?
教室では地味で華もなにもない
誰にも気づかれない娘

塾帰り となりの車両に見つける

やはり地味にたたずんでいるのだが
頬の曲線に視線で触れ
ストレートの髪がかすかに揺れた瞬間

たちまち・・・


?
記憶の乙女よ
しばらくまどろむがいい

目覚めたとて
めまいに脚をふらつかせるがいい

そのまま崩れ落ちよ
雪道で倒れこむ馬車馬のように*2






*1 ルーバースクリーン
*2 昔読んだボードレールの詩のイメージ



自由詩 無題  …固定された乙女に… Copyright 猫八百 2008-09-10 00:01:10
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