無題 …固定された乙女に…
猫八百
ルーバースクリーン昔読んだボードレールの詩のイメージ なめらかなあまりにもなめらかな
?
乙女よ
南国の熱病 稲妻に撃たれ
しばらく眠りつづけよ
肩先からふくらみかけの胸をつたい―――足先まで
オリブオイル塗る
その間は
不毛の地に叩きつける涙
路地裏には影ひとつなく
茂みに獅子
あいまいな地にくぐもり呻る
?
亡きバーンズ氏の娘…まだ中学生だった…が
俺の部屋に寝ている
衝立*1で囲っただけ、ランプがひとつだけの客間だが
さびしい、さびしいとしきりに訴える異国の少女
声もかけられず
ただ漏れてくる光を眺めるばかり
?
教室では地味で華もなにもない
誰にも気づかれない娘
塾帰り となりの車両に見つける
やはり地味に佇んでいるのだが
頬の曲線に視線で触れ
ストレートの髪がかすかに揺れた瞬間
たちまち・・・
?
記憶の乙女よ
しばらくまどろむがいい
目覚めたとて
めまいに脚をふらつかせるがいい
そのまま崩れ落ちよ
雪道で倒れこむ馬車馬のように*2
*1 ルーバースクリーン
*2 昔読んだボードレールの詩のイメージ