[ほんとうは]
東雲 李葉

手の平に刺さった刺を針で追うと、
吹き出すような声とともに刺は奥へと引っ込んだ。
夢の中でさえ上手く家族と付き合えなくて。
一緒に出てきたゲームの画面は昔を懐かしんでるのかそれとも歪んだ感覚か。
心理学を少しかじったから精神的な繋がりを大事にしてる、なんて
本当はただ甘えたかっただけなのに
毎週決まった時間に同じ顔で同じ道筋でここを出ていく。
先週も同じことを考えていたな。こんなうたを歌いながら同じように顔を造った。

現代詩って何なんだ。僕はここにいてもいいのか。

情熱なんて冷めちまえばこっ恥ずかしくていつまでも消えない燻りが、
ああ 疎ましくて、でも少し 羨ましくて。
やりたいことは毎秒増えてる。消えてしまうのも早いけど。
それでも一握りだけ残ったその夢を叶えようともしないのはなぜだろう。
なぜなんだ、なぜでしょう。

今日もほら、こんなことを考えてる間にバスは僕を駅へと運び、
電車は引継ぎながら目的地へと僕を運ぶ。
まるで荷物にでもなった気分だ。
働かなくちゃ食ってけないし昔と今じゃ今のがマシだし幸せだし。
幸せ、だし。

ああ 幸せって何なんだろうね。
お父さん、お母さん。ぼく、ほんとはね、


自由詩 [ほんとうは] Copyright 東雲 李葉 2008-09-09 15:26:17
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