浮かれ女(め)
星月冬灯


 私はこの世を儚らむ

 浮かれ女


 女がひとり

 このしがない世の中で

 暮らしていくには

 軽やかに唄でも

 歌わなきゃやっていけないさ


 私はこの世を怨む

 浮かれ女


 女がひとり

 たった一度愛した男に

 捨てられたとて

 涙なんか流しちゃいけない

 だってもっと

 惨めになるだろう


 恋に恋して

 今日も一夜の夢物語


 明日は

 また誰かが

 私に逢いにやってくる

 私はいつだって

 両手広げて待っていてあげる

 傷ついてボロボロのあんたを

 朝まで抱き締めていてあげる

 
 だからこの浮かれ女の

 胸でお眠りよ


 今だけは震えずに

 安らかにただお眠りよ

 安心して私の鼓動を

 子守唄代わりにお眠りよ


 私はこの世を愛おしむ

 浮かれ女

 
 いつだって恋して

 抱かれて

 傷ついて


 けれどいいの

 それが浮かれ女の宿命(さだめ)


 あんたは傷ついた羽が

 治ったら

 すぐに去って行ってしまう

 鳥だけど


 私はただ待っているだけの

 浮かれ女だけど


 また疲れたら「此処」に

 おいでよ


 この浮かれ女が

 あんたをいつでも

 包んであげるからさ


 「此処」はあんたの

 還る場所(ところ)さ


 
   浮かれ女〜遊女のこと。



自由詩 浮かれ女(め) Copyright 星月冬灯 2008-09-08 06:59:32
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