泥霧
いとう
あなたがたがそのように日々わたくしを名付けていくとしても
わたくしにとってまさしく霧のような
それは一寸の先も見えぬ濃霧のような
わたくしとわたくしでないものとを遮断して
穴という穴から
わたくしの内部にまで浸り
破壊していくような
たとえば憐憫にも似た
肌を舐め回すような圧迫感を
あなたがたが与えるとしても
それはすべてわたくしの屍骸なのです
あなたがたはいつも
わたくしを殺すこともせずにわたくしの屍骸を産み
それにわたくしという名前を与え
まるでそれがわたくしであるかのように
せめて
わたくしを殺してからにすれば
そのような戯れを知ることもなく
安らかに過ごせるのでしょうに
夜の明ける直前の
泥にも似た霧が
わたくしに似た影を
幾重にも作り出す
紫の東雲に映る姿が
わたくしのものであるのか
わからないまま
崩れ落ちるのが
わたくしであるのか
わからないまま