よわき星雲への
たりぽん(大理 奔)

砂に埋もれ
沈みそうに生きて
手の届く範囲の幸せを
ただただ全うする
あたりまえに生きることが

どうして
美しくないと
思っていたのだろう

  みんなの中に居るか
  「だれでも」の中に
  わたしは居るか

みんなが欲しいものが
手に入れるべきものだと
欲していたあの日

  つま先立ちの
  おぼれそうなプール
  届かない
  空の青さにあこがれて
  水面の蒼さに怯える

誰でもなく、わたしだった
なま暖かい血の海を
胸に隠して

  プールの底に足をおろし
  息苦しいすべての中に
  ただひとつの
  たいせつなものを探す
  それは怒りに似て
  
世界はわたしの外に
広がって
まちがっていても
美しい
残酷な、碧

弱いものよ、弱いものよ
ありのままに生きるのは
とてもとても
むつかしいけれど
とぼとぼと歩いて
輝いてゆけ

とぼとぼと歩いて
輝いてゆけ






自由詩 よわき星雲への Copyright たりぽん(大理 奔) 2008-09-07 00:48:35
notebook Home 戻る