アゲート
月音


手紙 のようなものを 
書こうと おもう

声に してしまうと
儚く 風になってしまうようで

私が 
今ここに いることや
この時代に 生きることや
出会った すべての人や
悔しくて 泣いたことや
闇の中で 惑ったことや
安らぎを抱いて 眠ったことや
神様に 愛されることや

人は
生れ落ちた その時から
長い 長い 遺言を綴るようなものなのだと
今 気付く

蒼いメノウ板を 月光にかざす
それは 宇宙
それは 星空
それは 地球
それは 植物の年輪
そして
それは わたくしの 骨

大地にかえる までの あいだ

手紙の ようなものを
書こうと おもう



自由詩 アゲート Copyright 月音 2008-09-06 20:37:05
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