させ
佐々木妖精
なぜ傘など持っているのですか
こんなにも晴れた日に
あなたのことは分かっているつもりです
被害者だと思えばなんでもできます
私はあなたに何もしていないつもりですが
お前らの中に含まれているのなら仕方ありません
こんなにも晴れた日に
そんなにも汚れた傘を手に
あなたがしたことは分かります
私もしたいことですから
こんなにも晴れた日ですから
ずいぶん瞼もはれている
あなたの拳で握られた
骨の飛び出したその傘は
私もよく覚えています
通り雨の中で
私がさしてた傘ですから
捨ててしまったその傘を
そんなにも濡らして
そんなにも尖らせて
路面に何度も突きさして
そんなにも握りしめているあなたを
あんなにもお前らが笑っている
岩のようなおもいで
草木の合間を貫いて
こんなにも晴れた日ですから
どこか日陰を探しましょう
木漏れ日のさす場所に
その傘をさしましょう