二十四時間
乱太郎


       あいするそのひとは
       いのちあるひと
       あいするそのひとは
       ひかりあるひと
       あいするそのひとは
       うたのあるひと
       あいするそのひとは
       ひとをあいするひと


午前零時三十六分。
  北北東から北北西へ
  流れ星が
  窓の灯りが消えていく


       あいするそのひとを
       ただ想う
       あいするそのひとを
       ただ願う
       あいするそのひとを
       ただ祈る
       あいするそのひとを
       ただ愛する


午前六時十七分
  東の空から ゆっくりと
  ひとつの輝きが
  雀が鳴いている


       あいするそのひとに
       会いたくて
       あいするそのひとに
       逢いたくて
       あいするそのひとに
       声をかけたくて
       あいするそのひとに
       そばにいてほしくて
      

午後一時三分
  西に傾き出す眩しさ
ざわめく都会でひとときの休息
  揺れる洗濯物

      
       あいするそのひとは
       笑っている
       あいするそのひとは
       楽しんでいる
       あいするそのひとは
       喜んでいる
       あいするそのひとは 
       はしゃいでいる
   

午後十一時二十二分
  西南西に浮かぶ
  まるい微笑み
  今日という日付を
  星たちが持ち去っていく

        あいするそのひとは
        おだやかに
        あいするそのひとは
        ほほえんで
        あいするそのひとは
        しずかに
        あいするそのひとは
        やさしく

胸に抱きながら
あいするそのひとは
眠りに就く


自由詩 二十四時間 Copyright 乱太郎 2008-09-05 20:02:21
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