黒焦げ公園律
A道化





空中の緑を
音も無く貫く光
音も無く跳ねる光、の
無数の視線の合う一瞬
摩擦熱が
無数の蝉として発火してゆきます


公園で遊ばずに焦げる皮膚は
可愛らしいアイスクリームを食べては
自嘲するだけのその頬から順に
歪んで
泣かずにただ焦げて
ジジ、


ジジジ、軋みなさい、


滑り台を引っ掻き
軋みなさい、ブランコの鎖を伝い鼓膜へ
鼓膜から脳髄へ、軋みながら燃え移りなさい
耳を澄ましてはなりません
目を凝らしてはなりません
耳鳴りと目眩の中でだけ捏造できるものを
ジジジジジジジジジジジジジ、の中
捏造して耐えなさい


ジジジジ、
ジ、


焦がれ
焼け焦げたら
公園ごと、ひとつ
ピリオド.
そのあとは炭みたいに静かに
次の雨で冷えるのを待ちなさい


2008.9.4.


自由詩 黒焦げ公園律 Copyright A道化 2008-09-04 09:46:05
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