夏と麦茶
anne

そとの温度はかるく30℃をこえて
蝉の声は途切れることをしらず
部屋のすみのちいさな植物さえも
気絶しそうになってるなかで

古い扇風機ひとつまわして
からんと涼しげな音をたてる麦茶のグラス
おちた水滴が色あせたズボンに黒いしみをつけて
降らない雨を思わせた

あけはなった窓からみえる
四角くきりとられた空は真っ青で
うずまく入道雲は真っ白で
そのふたつだけの空を
暑そうにカラスがよこぎった

グラスをかたむけると からんと
氷がゆれて

暑さにやられたすべてのいきものに
麦茶とこおりとグラスの祝福を


自由詩 夏と麦茶 Copyright anne 2004-07-25 21:37:10
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