クローズドサーキット
atsuchan69

パリ、
バンコク、
アムステルダム
アブダビ・・・・

ひとりゝが克明に、
肌の毛穴を映し
【二十四】の顔たちが
闇に浮んでいる

それ等は瞬きをし、
呼吸し
ときには咳きこんだ。

一日は、二四で分割される

世界の秩序とは、
昼と夜の交絡因子にすぎない
つまり人々は昼に暮らし
夜、眠りに就く

しかし老獪な彼らは、
夜に暮らす

それは生涯、
手に鋤をもたぬ者の宿命
万象の回帰を計る
星を視る者たちの生業

――然り。
暦は、夜に作られた

罪の裁きも、
諸国の王たちも
殺戮と飢饉も
奇跡さえ彼らが作った

昼は夜の深淵を見ることもなかった
(人々よ、夢を見つづけなさい!)

魔術師たちは、
表裏の異なる時間の位置に
ふたりづつ背を向けて
重なりあうように立ち、
瞬きをし
か弱く呼吸した

夜の真下に、青い地球が浮んでいる







自由詩 クローズドサーキット Copyright atsuchan69 2008-09-02 15:48:02
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