山で
ふるる

友達と二人で
山でキャンプをした
山といっても中腹まで車で登って
キャンプ場にテントを張っただけ

晩飯はカレー
キャンプといえばカレーで
これを食べるためにキャンプするようなもの
かなりうまいし
いつもは使わないスパイスとか入れてみたり
しても失敗しない
飯ごうで炊くご飯もうまい

腹いっぱいになったら
もう何もすることもなく
急に降り出した雨の音をテントの中で聞きながら
寝袋におさまる

山って
カレーと似てるよなあ
と友達がふと言う
カレーは辛くて米は甘い
辛くて甘い
それが山だ

こじつけっぽいけど
自分よりも山に詳しい友達が言うんだから
そうなんだろう

それから僕らは
将来について話し始めた
僕らの将来は
夜の山よりも暗い
辛くて甘い
それが人生だと大人は言うけど
多分これからは
激辛、大辛、中辛、ばっかりで
甘いなんて
あるんだろうか

山で甘いってどういうこと
野生の花畑とか見れるのか
と聞くと友達は

いいや
とても

静かなんだよ

それで

と言って
そのまま眠ってしまった

晩飯のカレーの味を反芻しながら
テントに容赦なくぶつかる雨音を聞きながら

僕もまた
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自由詩 山で Copyright ふるる 2008-09-02 15:30:37
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