ありがとう
かんな
あなたでした。
(のほほんとした真昼のじかん)
小雨のようにぽつりと呟いて、砂利道を手をつないで歩いてくれたのも
(ありがとう、がかいま見えたけれど)
そうやって森のようにひっそりと見守ってくれたのも
(なんだか照れくさくてみえて)
あなたでした。
(かさぶたがはがれてしまうように)
緑の葉も黄色くなり茶色くなり土に変わる
(きもちが傷つくことはあるけれど)
雨のしずくのひとつひとつは水たまりに変われるけれど
(夜空にかみなりがおしよせるように、心が曇ってしまうこともあるけれど)
そんなこぼれそうになった涙を抑えればいつか変われると
(わたしはわたしのままでと)
教えてくれたのはあなたでした。
(やさしさはあいをとりまいて放さない)
雑草がひまわりに憧れるように
(あいはやさしさをひとりじめしようなんて思わない)
大海原が雨のひとしずくを飲み込むように
(夏が終わるのといっしょに)
あなたに焦がれるはわたしでした。
(ありがとう、が左胸についてはなれなくて)
雨があがると虹が出る、虹が出たら窓をあける、窓をあけると世界は広がって
(そんなとき、あなたに会いたくて)
そこにいるのはあなたでした。
ありがとう。