飛行船がとぶ そして人も
パラソル
飛行船にのったひとびとが
何人も何人もいる
その人たちは、まどをあけて、ここから飛びおり
たがっている。
映画のような気もちで 落下したら
着ているものがどんどんぬげていく
最後にアンパンマンの描かれた靴だけが、残った。
アンパンマンは 笑顔であざ笑っている。
「ぼくにはふろしきがある。お前にはない。」
最後のことばを聞きながら、ぶどう畑に次々に墜落し
た。
農薬で出来た甘い香りと、血のにおいが
あたり一面にうかぶ。
ここは空ではない。地上だ。
空を移動する家からつき落とされ、住む資格をうしなった。
あのドアは安全だと思ったのに。
向こう側に部屋のないドアは無いと思っていた。
開けたら、そこには板張りの上に、イスと、テーブルが存在
しなければならなかった。
まどのむこう 目の窓から
一瞬たしかにそれは存在した。
首を上げたら、それは空だった、