ロマネタリウム
ススメ
星になろうか
蛍になろうか
骨壺と帰郷してきた
あぜ道の先に鉄塔の里山
夏は盛りで
田は青くそよぐ
懐かしいともいえないぐらい
生家はそのままで
特に変わらない父が
特に変わらない顔で待っていた
縁側に腰を下ろし
家の田を見ている
夕日が稜線に最後の火を灯し
静かに帳と星が降りてくる
黒い靴下のまま縁側に寝る
思えば気の強い人だった
家族の前ではわがままな人だった
そういうところがよく似た姉も
先の庭で田を見ている
視線を灰皿に向けると
空気が不意に鳴り始めた
そして風音の先には
くらむような蛍と星の空がいた
星になろうか
蛍になろうか
やっぱり両方ね