台風のように
よしおかさくら

麦茶の入ったグラスが
汗をかいてるよ
伸ばし過ぎた爪も
切ってしまうのはさみしいの

なにもかも溶けていき
温い風に乗ったあなたに
追いかけられる夢を見る
「飲んでしまえば楽になれるよ」
髪へ瞼へ唇へ
眠り薬を流し込む
永久の眠りを流し込む
こんなに優しいキスも皆
手に入ったら最期なの
腕も瞳も歌声さえも
振り切って逃げ出さなければ

台風のように
泣いて泣いて目が覚めて
ほうら ここにはあなたは居ない
だから 独り爪を切り
眠り薬ならぬ麦茶をひとくち
こおろぎ達が歌いだしたら
夕涼みに散歩に行こう
明日は晴れるか占おう


自由詩 台風のように Copyright よしおかさくら 2008-08-30 11:02:16
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